それまでの指揮官タイプとは全く違った

義経は、戦場で即座に動き、判断し、突破口を開く力に長けていました。その強さは、個としての鋭さにありましたが、組織として戦う場面では、周囲とのずれを生みやすい側面も持っていたと考えられます。

大将に求められるのは、自分が最前線で活躍することではありません。むしろ全体の秩序を保ち、ほかの武士たちが動ける場をつくることでもあります。うしろで控えているべき大将が戦ってしまえば、配下の将たちが武功を挙げることもできません。義経の強さは、組織の中では扱いにくさにもつながったのかもしれません。

義経の戦いは、指揮官として全体をまとめるというより、身体ごと前に出ることで流れを変える戦いでした。その類を見ない姿が鮮烈だったからこそ、人々の記憶に強く残ったのでしょう。