強気なサッカーだけでは世界に勝てない

「背後のスペースは、後ろにいる選手の責任。勇気を持って前へ出ろ」

監督がそう伝えたことで、選手は背後を気にせずアグレッシブにボールを奪いに行くようになりました。

その守備力と本田圭佑選手、香川真司選手、遠藤保仁選手らの攻撃力が噛み合い、親善試合ではありますが、ホームでアルゼンチンに、アウェイでフランスとベルギーに勝利しました。

本田選手を中心にボールポゼッションにこだわり、日本代表史上最も強気なサッカーを志向していたと言っていいでしょう。

しかし、強者のサッカーでW杯に挑むには、それでもまだ早かったのかもしれません。ザックジャパンは2014年ブラジルW杯で南米大陸の移動距離の長さと暑さに苦しみ、仕込んだ連係を発揮できず、1勝もできないまま大会を去ることになりました。本田選手は優勝を公言していたため、大きな批判にさらされました。

ただ、W杯で結果こそ伴いませんでしたが、すべてを過小評価する必要はないでしょう。4年間のチームのつくり込みは、日本代表が代表チームでありながらクラブチーム的に進化できる可能性を示しました(図表3)。

八百長疑惑後、期待された監督は…

〈バヒド・ハリルホジッチ監督〉(2015‐2018)

ザッケローニ監督後に就任したメキシコ人のハビエル・アギーレ監督は、攻撃的なサッカーを志して選手からの評判が良かったのですが、スペインリーグ時代の八百長疑惑が浮上し、解任されてしまいました。

後任を探す時間が限られた中、日本サッカー協会が選んだのはボスニア・ヘルツェゴビナ出身のバヒド・ハリルホジッチ監督でした。

ハリルホジッチ監督は2014年W杯でアルジェリアをベスト16に導き、決勝トーナメント1回戦ではドイツと延長戦に突入する接戦を演じました。番狂わせを起こせる監督として期待されたのです。

ところが、ハリルホジッチ監督はマネジメントに失敗してしまいます。

バヒド・ハリルホジッチ監督
バヒド・ハリルホジッチ監督(写真=AB75P/CC BY-SA 4.0/Wikimedia Commons