オーナーが辞任を受け入れたワケ
また、巨人の山口寿一オーナー(69)もこう述べた。「私も監督を続けることは許されないと考えておりましたので、その辞任を受け入れた」「暴力を振るった、そして逮捕されたという事実は消すことができない。監督の暴力というのは非常に重い出来事でありますので、辞任は避けられない」。山口オーナーは読売新聞記者時代には法務省記者クラブでキャップ、常務取締役時代には広報・コンプライアンス担当を務め、法務とコンプライアンスに精通した人物である。
娘の手紙を出し、バッシングを招いた
この点で、読売新聞と巨人の姿勢は「暴力根絶」とはっきりしていた。対照的に、他のニュースでは「涙の会見」「娘さんの手紙の冒頭」にひっぱられ、ミスリーディングとなる見出しも散見された。例えばこうだ。
長女からの手紙を代理人が代読 巨人・阿部監督が辞任会見“娘も高校3年生の年頃な子ですので、温かく見守って”(日テレ)
巨人・阿部監督が辞任 娘からの手紙も代読される「父との大がかりな喧嘩は初めて」「警察が来て驚いた」「すでに仲直りしています」(デイリースポーツ)
阿部監督 通報した長女は「けがの心配はご無用」無事を報告 SNS中傷・拡散行為に「控えてほしい」訴え(スポニチ)
巨人軍には謝罪するが、娘には…
阿部監督が暴行をしたのに、「私の家族のトラブル」と呼び「娘を温かく見守って」というのは、娘が失敗したかのようにも聞こえかねない。非常に奇妙な表現だ。また阿部監督は「多くの野球ファンの方、プロ野球関係者の方、会社に多大なご心配とご迷惑をかけました」「伝統ある巨人軍の監督の名も汚してしまって、とても深く謝罪したい」と、"辞任"を謝罪しており、"暴行"そのものについては、説明や謝罪の言葉はなかった。
そんなわけで、暴行事件にもかかわらず、“家族思いの父”を強調するようなエモーショナルで見出しがネットニュースには踊った。しかしなぜ、父の名声を慮る長女の手紙を、阿部監督は会見で公表したのだろうか。あのように長女が謝罪する内容を公にすれば、誤解を招き、バッシングの矛先が長女に向くと容易に想像がついたはずだ。
3人いる子どもたちの学校生活や今後を思えば、被害者である長女が「公表してほしい」と頼んだとしても、テレビでは読み上げないはずだ。手紙の「父にはこのような声明はいらないと言われましたが」という出だしにも反している。巨人の法務・広報が管理する会見であったなら、子どもの人権に対する配慮が不十分だったといえる。

