ナフサ不足は、すでに「いま、そこにある危機」となっている。楽観的な見通しを繰り返す高市政権が、初動の対応を誤ったのはごまかしようがない。

不都合な真実には目を向けない。悪いことは考えない、というのがいまの政権の特徴だとある経済官庁の幹部は指摘した。

「要するに、首相官邸は責任を取りたくないのですよ。首相本人かどうかは、我々の所には全く話が降りてこないので分からないが、官邸からは、中間業者が売り惜しみしないように何とかしろとか、しらみつぶしに在庫を調べて放出させろとかその場しのぎの指示しかおりてこない。業者と直接会う担当者は、現場のニーズが分かっているから、場当たり的な目詰まり対策よりも、中小零細業者を直接支援するような対策が必要だと思っているけど、それを上にあげる気にならない。司令塔の首相官邸が、電気ガスの支援金など目先の物価高対策ばかり気にして、原油不足にどう対応するつもりなのか分からないから、役人は動けないんです」

世論は、すでに危機を感じ取っている

大型連休中、高市首相はオーストラリア、ベトナムを歴訪し、エネルギー安定化で協力することや中国を念頭に安全保障面での協力関係強化で合意したのをはじめ、2度目となる韓国のイ・ジェミョン大統領との首脳会談を成功させた。

党首討論で中道改革連合の小川淳也代表も、「破壊力のある笑顔で日韓関係を良くしたことは評価できる」と持ち上げたほどだ。

25日付の読売新聞の世論調査で、内閣支持率は64%と前月に続いて高い水準が続いていた。こうした一連の外交姿勢が評価されたことは間違いないだろう。

しかし、その読売新聞の調査でも、ナフサの供給に問題はないという政府の説明には「納得できない」という回答が64%で、「納得できる」の25%を大きく上回った。ナフサの供給不安が広がっているのだ。政府説明に「納得できない」は、内閣支持層でも57%と半数を超えたという。

一方、高市首相が、夏場の電気・ガス料金を支援するため、補正予算案の編成を含め、対応を検討すると表明したことについては、首相の対応を「評価する」は72%で、「評価しない」21%を大きく上回っている。

世論は、すでに危機を感じ取っている。ナフサに限らず、中東情勢で物価は高騰し始めている。生活の様々な場面で影響が出始めているのだが、具体的な対応策は示されていない。これほど支持率が高く、衆院では300議席を大きく超える圧倒的な多数を持っているのにもかかわらず、思い切った対策を打ち出さないのは、いったいなぜなのか。

野党やマスコミだけでなく、与党の中からまで、そうした疑問の声が出始めている。

「期待感」だけで政権は維持できない

これまでにも何度も指摘してきたが、高市早苗という人は孤独な人だ。何でも自分でやらなければ気が済まない。それは他人を信用していないからだと回りには受け取られる。だから誰からも信用されなくなる。筆者は、これまでの高市首相をとりまく様々な出来事や、首相と接してきた与野党の政治家の声をもとにそう書いてきた。