大盛堂書店は変化と改革の象徴だった
渋谷のスクランブル交差点にある大盛堂書店は、地下1階、地上4階の建物だ。各フロアは30坪と小さめだが、インバウンド需要にも目をくばった独自の品揃えで存在感を示している。
運営会社の代表である舩坂良雄さんは今年77歳になる。若いころには剣道や居合術、極真空手で鍛えたとあって、がっしりした体躯は、年齢を感じさせない。大盛堂書店にうかがった日、いつもはイベントなどに使われている、同店の3階に場所を用意してくれた。
変わり続ける渋谷にありながら、いつまでも変わらない姿で営業を続ける大盛堂書店だが、かつての同書店は変化や改革の象徴のような存在でもあった。舩坂良雄さんが説明する。
「もともとの創業は1912年です。私の父・舩坂弘が第二次世界大戦から帰ってきて、2代目の代表に就任してから、本格的に大盛堂の躍進が始まったと言えます」(舩坂良雄さん)
後ほど詳述するが、舩坂弘は第二次大戦で、当時「玉砕島」と言われたアンガウル島から生還したひとだ。この時の体験が、作家・三島由紀夫との縁を結ぶ。「父はビジネスマンとしての先見の明がありました。1990年代には、「西武デパート(西武渋谷店)」の真向かいで、地下1階、地上8階の巨大な本屋を切り盛りしていました。1階に、車で来て本が買える、今で言うドライブスルーのような仕組みを一時期取り入れていて、当時としてはとても先進的な店でしたが、2代目の父から私に代替わりしたころに、惜しまれつつも閉店しました」(舩坂良雄さん)


