裏どり不要の国会質問
この委員会の12日後の6月14日に大阪地方検察庁によって村木氏は逮捕された。村木にしてみれば、身に覚えのない嫌疑がかけられ、恐怖を感じていた時期に小池から厳しい追及を受けたことになる。
不用意に答弁すれば、それが検察によって、どんな“証拠”に変えられてしまうのか、わかったものではない。村木はただ「お答えできません」を繰り返すしかなかった。
重大なことは、小池が「村木が犯人」という検察のシナリオに沿って追及をしていることだ。小池の追及を汗をかきながらかわそうとする村木の姿はテレビのニュースでも流され、視聴者は「村木はクロ」という印象を持ったことだろう。
検察からリークされた情報をもとに国会議員が国会質問をすることがある。新聞やテレビなどの報道では、リーク情報があっても、事実だと判断できる「裏どり」取材をしなければ報道できない。しかし、国会ではあくまで「質問」という形式で発言されるので、裏をとる必要はない。「この情報は本当ですか」と相手に聞けばよいだけである。
相手が事実だと認めれば、真実を明らかにさせたとして質問した議員の手柄になるし、否定されたとしても「疑惑はますます深まった」と見栄を切れば、それで仕事は一丁上がりとなる。マスコミなら裏どりをしないまま、事実を否定されるような報道をすれば、誤報として大問題になるだろう。そこがマスコミ報道と国会質問の本質的な違いだ。
小池はこうした国会質問の「コツ」をよく理解している議員だといえるだろう。
標的になった小沢一郎
検察からのリーク情報を共産党は以前から利用してきた。たとえば2010年の陸山会事件である。民主党(当時)の代表を務めたこともある野党の有力政治家である小沢一郎衆院議員の資金管理団体「陸山会」による土地購入の資金処理が問題視された事件である。
共産党は国会質疑や『赤旗』での報道を通じてさかんに小沢の政治資金の流れを追及した。マスコミは国会論戦や『赤旗』報道を根拠に、小沢の“疑惑”を連日取り上げた。検察は小沢への批判的な世論を味方に小沢の有罪の立証に努めたが、結局、不正献金や裏金は認定されなかった。
検察審査会の議決により小沢は強制起訴されたが、2012年に無罪が確定し、秘書らも最終的に全員無罪となった。
この一連の陸山会事件追及の中で、派生的に浮上した「水谷建設」事件は、検察当局がリークした情報であることが疑われる。
東京地検特捜部は中堅ゼネコン水谷建設が2004年ごろ、下請工事受注の見返りとして、小沢一郎側に計1億円を提供したとし、その一部が陸山会の土地購入資金に使われたと主張した。しかし立件も有罪認定もされず、司法判断では退けられた。つまり水谷建設は、検察のストーリー上では重要視されたが、司法的には意味を持たなかった。
ところが『赤旗』だけが、この検察のストーリーに乗っかって「水谷建設ヤミ献金 小沢元代表の説明求められる」(2011年4月30日)と主張をし続けたのである。

