そもそも石炭火力発電の全廃は、EUが声高に主張していたことだ。脱炭素化の推進もさることながら、それをテコに国際社会で政治的な影響力を行使しようという思惑がEUにはあったと考えられる。とはいえ、石炭火力発電への依存度が高い新興国は一斉に反発。結局のところ、石炭火力発電の存続に含みを持たせる表現で決着となった。

石炭火力発電所
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石炭もまた重要なエネルギー源であるし、かつASEAN諸国にとっては自給できる化石燃料である。火力発電の設備を効率化・近代化すれば、温暖化を考えるうえでの懸念材料である温室効果ガス(GHGs)の排出も、かなり削減することができる。にもかかわらず、EUはASEANを含めた新興国に対し、その全廃を一方的に求めようとした。

EUの外交姿勢に問題点を挙げるとすれば、相手側の事情をあまり与しない点にある。一貫して、EUの理想や理念、あるいは“規範”を相手に受け入れさせようとする傾向が強い。しかし、EU自身はそう考えているのかもしれないが、EUがグローバルに普遍的な価値観を提供しているわけではない。世界各国の価値観は真に多様である。