高望みではない「構造的な不都合」
また、上方婚というと「玉の輿」「高望み」のようなイメージもありますが、現実の上方婚はもっと現実的です。
2024年の内閣府「少子化・女性活躍の経済学研究に向けたアンケート調査」より、25~49歳の未婚女性の年収別に相手に望む年収が自分の年収の何倍にあたるかという係数計算をすると、300万~500万の中間層で1.58倍です。
そして、この1.5倍程度の年収差というのは、実際に結婚している20~30代夫婦でも同様で、婚活女性が決して現実離れした無謀な高望みをするようになったからではないのです。
しかし、たかが1.5倍、されど1.5倍です。ここにこそ、女性の意思とは関係なく、結婚の経済的ハードルを上げてしまう構造的原因が隠されています。
年収の絶対額ではなく、「女性は自分の1.5倍の年収相手を求める」というのを基準にすると、女性自身の年収が上がればあがるほど相手に求める年収が上がってしまうことになります。
女性の大学進学率の増加や大卒女性の絶対数の増加で女性の年収は上昇しています。それに伴い、若年層の特に正規社員における男女の賃金格差は以前に比べればかなり解消されています。
それはそれで良いことと思いますが、仮に、そうして女性の年収自体が上昇して、同年齢の男性とほぼ同額となったとします。その場合でも、この1.5倍の基準を守ろうとすると、自然に希望年収そのものが上昇するために対象相手がいなくなることになります。
8割が陥る「婚活疲れ」の当然の理由
皮肉にも、女性自身の年収増により、相手への希望年収が自然スライドして高騰する「結婚年収のインフレ」が生じることになります。
高望みではなく、構造上の必然です。
結婚生活は経済生活ですから、自分より稼ぎの少ない相手をあえて選んで苦労はしたくないと思うのは自然です。しかし、その基準を守ろうとすると、「選べる相手はいない」という現実と直面します。
結婚相談所の現場で、仲人から「お相手の年収条件を少し下げてみませんか」などと提案される婚活女性も多いでしょう。仲人が意地悪しているわけではなく、それが現実だからです。
結局、婚活の女性は「良い相手がいない」と愚痴り、男性は「こっちが良いと思っても(経済条件で)相手から選ばれない」とこぼす。婚活男女の8割が「婚活疲れ」をしているというニュースもありましたが、それも当然かもしれません。前述した内閣府の論文は、まさにこの現実に起きている婚活のマッチング不全を数値化したようなものです。

