正解のように見えて実は不正解な解答3つ

生徒が書きそうな解答 例①

「自分の力だけで、なんとかしよう」とがんばって「足し算のデザイン」で機能を追加しても、想定外のことには脆弱である。ゴミ箱ロボットは弱いので、子どもたちの助けを引き出す強さを持っているということ。

入試では少しの部分点しかもらえないレベルですが、本文のおおまかな読解はできていることがわかります。ただし、いくつかの改善が必要です。

まず、この答案では、本文の語彙をそのまま引用しすぎています。比喩を使わず具体的に言い直す必要があります。たとえば、「足し算のデザイン」という作者の表現を「自分ひとりの力で事態を乗り切れるよう、完全さに向けて機能を追加しても」などと一般的な言葉に言い換えて説明します。

自力で完成度を上げていく強いはずのものは、想定外のことが起きると機能しなくなる弱さを露呈します。一方、不完全なもの――ここではゴミ箱ロボット――は、不完全であるがゆえに協働を招き、結果として「完全を目指すものにはできなかったこと」を達成します。生徒には、この不完全なものの強みを書くよう伝えます。

では、不完全なものの強みとは何か。「子どもたちの助けを引き出す」という内容は書けているので、そこから発展させ、「協働を生み出す」「互いの弱さを補って柔軟な強さを発揮する」という内容が必要だと指導します。

また、この答案では問いの「具体的に」の部分に応えていません。そのため字数も少ないです。ただ、「字数が足りない」と指導するだけでは生徒は何を付け足せばよいかわかりません。必要な要素を具体的に伝え、十分な字数に自然とたどり着けるよう添削していきます。

生徒が書きそうな解答 例②

ロボットに欠けている能力があったら新たな機能を追加して完全さを追求しても、想定外なことが起こると立ち往生してしまう弱さがある。自分でゴミを見つけたり拾ったりできないゴミ箱ロボットは、子どもの力を借りて仕事を完成させる強さがある。

大前真由美『中学受験塾 エルカミノがわかる本 元講師が教える「考える力」を育てる塾のすべて』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
大前真由美『中学受験塾 エルカミノがわかる本 元講師が教える「考える力」を育てる塾のすべて』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

この解答は結論部分が間違っています。エルカミノの記述添削の方針として、結論が間違っている答案は途中が合っていても不正解としています。一般的な模試では、要素のつなぎ合わせで部分点がもらえますが、入試では、結論がずれていれば大幅減点になります。逆に結論さえとらえていれば、合格点に達する可能性が高くなります。

「子どもの力を借りて仕事を完成させる強さがある」という結論では、成果を上げたこと自体が強さになってしまいます。しかし、ここで問われている「しなやかな強さ」とは、成果を上げられることそのものではなく、成果を上げるに至る「協働を生み出すこと」にあります。この結論部分を間違えてはいけません。

普段から記述の結論がずれてしまう子には、その設問に対する核心をひと言で考えるよう指導します。この核心こそが結論につながります。授業では、解答の核心をひと言で決め、そこに向かって書き始めるよう指導します。つまり、記述の解答を文末から積み上げていく、ともいえます。