――株の話に戻りますけど、武井さんには“忘れられない”銘柄ってありますか?

【武井】新興市場のとあるバイオの会社。04年7月の上場直後に一株90万円をつけた。僕は70万円で買ったんだよ。そうしたら、後は下がる一方。結局、20万円あたりで手放した。

【小幡】何ていう会社ですか?

【武井】……うーん……ほんとに思い出したくもないんだけど、マザーズのそーせいグループ。今は3万円前後かな。

一同 (嘆息)

【武井】新興じゃこれくらいの下げはザラだよ。今はもう、現金しか信用できない。幸いデフレが進行するから、借金さえなければ生活に金はかからないはず。僕は、信用(取引)はとてもじゃないが怖くてやってないからね。特に下降局面は。小幡さんはどんな感じ?

【小幡】始めたのは5~6年前からですね。なんか、夫の職場の上司がみずほの株を買って半年放っておいたらかなり儲けたと聞いたのがきっかけです。軽い気持ちで始めたんですけど。

――03年5月、りそな銀行の国有化のころですね。

【小幡】はい。聞いたのは夏場だったんですが、私が始めたのは冬場。そのときはもう銀行株は落ちかけてたんですが、夫のボーナス100万円とフルタイムのパート2年分の給料130万円を使って、マネックスのデイトレで三井住友とかを一株85万で買って、次の日に86万になったからクリックしちゃおう、利確(売って利益を確定)9000円、ラッキー!とかやってたんですよ。でも、なんか違うなっていうのを感じて。

【滝上】何か大きいのを?

【小幡】その頃、幼稚園の年長だった子供が……何でしたっけ、任天堂の、Wiiの前のちっちゃいポータブルゲーム。

【大石】DS Liteですか?

【小幡】ええと、Liteじゃなくてまだごついバージョンの頃で、ウチの子もクラスの子も「買って、買って」って。何でこんなのが好きなのかなって思い始めたときに、「あっ、そうなんだ!」と。任天堂っていいんじゃないかって。だって、幼稚園から小学校高学年までみーんな欲しがるんですから。バンダイのたまごっちとは値段も全然違うし。ただただ単純な、主婦の発想。そうか、こうやって株は見るんだって、そこで私の勉強が始まったんですよ。別に銀行とか証券とか自動車とか食品だけじゃないんだってわかったときにちょっと視野が広がって。

(田村建男=取材 西川修一=構成)