認知症の修正可能な14のリスク因子
1:少ない教育年数
若い頃の教育は、脳の「予備力(認知予備能)」を高めると考えられています。教育年数が長いほど、加齢や病変による影響を受けても認知機能が保たれやすい可能性があります。ただし、教育年数は大人になってから個人の努力で大きく変えられるものではありません。この要因は、個人の生活習慣というよりも社会全体の教育環境の整備という意味で重要な要素といえるでしょう。
2:難聴
耳の聞こえにくさは、認知症の重要なリスク因子の一つです。難聴があると会話が減って社会的交流が少なくなること、脳の負担が増えることが影響していると考えられています。最近では、補聴器の使用が認知機能低下の進行を遅らせる可能性を示す研究もあるので、聴力低下を自覚した場合は早めに耳鼻科で相談しましょう。聴力は生活の質だけでなく、脳の健康にも関わる要素として関心が高まっています。
3:LDLコレステロール高値
いわゆる「悪玉コレステロール」であるLDLコレステロールが高い状態は、動脈硬化を進めます。動脈硬化は、心臓だけでなく脳の血管にも影響し、血流低下や微小な脳梗塞を通じて認知機能の低下につながることに。高コレステロール血症は、食事の改善や運動に加え、スタチンなどの薬による治療が有効です。
4:うつ
うつ状態は、認知症の発症と関連することが多くの研究で示されています。気分の落ち込みによる活動量の低下、社会的孤立などが影響している可能性があります。もっとも、うつ症状が認知症の初期症状として現れる場合もあるため、因果関係は単純ではありません。それでも適切な治療や支援を受けることは、生活の質だけでなく脳の健康を守るうえでも重要と考えられています。
5:外傷性脳損傷
交通事故や転倒などによる頭部外傷は、その後の認知症リスクと関連することが知られています。特に重度の脳損傷では影響が大きいとされています。ヘルメット着用や転倒予防など、安全対策が重要です。
6:運動不足
身体活動が少ない人は、認知症のリスクが高い傾向があると報告されています。運動は血流や代謝を改善するだけでなく、脳の神経ネットワークにもよい影響を与える可能性があります。特別な運動でなくても、日常的に体を動かすことが大切です。
7:喫煙
喫煙は血管にダメージを与え、動脈硬化の原因になります。その結果、脳の血流が低下したり脳梗塞が起こりやすくなったりして、認知機能の低下につながるのです。また、喫煙は慢性的な炎症や酸化ストレスを引き起こし、脳の神経細胞にも悪影響を及ぼすと考えられています。禁煙は心臓や肺の病気を防ぐだけでなく、脳の健康を守るという意味でも重要な対策です。
8:糖尿病
糖尿病は血管や神経に影響を与える病気で、認知症との関連が指摘されています。血糖管理を適切に行うことは、網膜症や腎症などの合併症を防ぐだけでなく、認知機能の維持にも役立ちます。
9:高血圧
高血圧は脳血管に負担をかけ、脳血管障害や認知機能低下と関連することが知られています。特に中年期の血圧管理が重要です。
10:肥満
肥満は、糖尿病や高血圧などの生活習慣病と関連し、間接的に認知症リスクにも影響する可能性があります。特に中年期の肥満は、その後の認知機能低下と関連することが研究で示されています。適正体重を保つことは、全身の健康にとって重要です。
11:過度の飲酒
大量の飲酒は脳に直接影響を与えるほか、肝疾患や栄養障害を通じて認知機能にも影響する可能性があります。過度の飲酒は控えることをおすすめします。
12:社会的孤立
人との交流が少ない状態は、認知症のリスクと関連することが多くの研究で報告されています。家族や友人との会話、地域活動への参加などは、自然に脳を使う機会にもなります。また、人とのつながりがあることで活動量が保たれたり、気分の落ち込みを防いだりする効果も。もちろん、無理に人付き合いを増やす必要はありませんが、できる範囲で誰かと話したり社会との接点を持ったりするといいでしょう。
13:大気汚染
PM2.5などの大気汚染は、体内の炎症や血管への影響を通じて認知症と関連する可能性が指摘されています。ただし、大気汚染は個人の努力だけで十分に対策できる問題ではありません。環境規制や都市政策など、社会全体で取り組む必要のあるリスク因子といえるでしょう。
14:未治療の視覚障害
視力低下を放置すると、活動量の低下や社会的孤立につながる可能性があります。眼鏡の調整や白内障などの治療によって視力を保つことは、生活の質を高めるだけでなく、脳の健康にも重要であることが示唆されています。

