「八雲の世話」も自分から申し出たか
頭脳明晰な人だけに生徒からの支持は絶大だった。……働かせすぎである。現代なら確実にブラックすぎる職場として大問題になるだろう。いや、現代でも教師の長時間労働は問題になっているが、西田の場合はそんな生易しいレベルではない。管理職と平教員を兼務し、6科目以上を担当。これは「働き方改革」以前に、単純に人間を壊しにかかっている。
ここに加えて「新しい外国人の先生が来るので世話を頼みます」となったわけだ。常人なら「無理です」「ふざけんな」となるだろうが、西田はそうならなかった。むしろ、次のように西田が自分から世話を申し出たのではないかと考える識者もいる。
ハーン来任についてであるが、これは多分に西田が希望した人事であったと思われる。前任者のタットルの教師としての不評をもっとも心配したのは、彼であったにちがいないからである。(池野誠『小泉八雲と松江 異色の文人に関する一論考』島根出版文化協会、1970年)
前任のタットルは教師として機能せず、生徒たちが困っていた。今度こそまともな英語教育を……そう考えたとき、まともに英語が話せる教員は限られている。「だったら俺がやるしかない」。そんな使命感が、西田を突き動かしたのだろう。まさに「聖人」である。
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