夫が自死、移植を決めた女性のケース

三重県の米山こめやま順子さんは数年前、脳死になった夫の臓器を提供した。

夫は自死を試みて搬送され、4~5日目に主治医から「脳幹までダメージが及び、意識の回復は難しい」と説明されたという。「脳死」という言葉は出なかった。ただ、看護師でもある米山さんは医師の口ぶりから脳死に近い状態であることを理解した。

脳死とは脳幹を含む脳の機能全体が不可逆的に失われた状態で、植物状態などとは異なって回復することはない。ただ、人工呼吸器などの助けがあれば一定期間は心臓の拍動が続き、その間は身体のぬくもりも感じられる。欧米をはじめ世界の多くの国では脳死を「人の死」と定義しているが、日本では、臓器提供を前提に法的脳死判定を経た場合に限り、脳死が死とみなされる。