先延ばししない「環境」をつくる

「プライミング効果」という言葉を聞いたことがあるかもしれない。

『科学的根拠で 先延ばしグセをなくす』
ニルス・ソルツゲバー著、弓場隆訳『科学的根拠で 先延ばしグセをなくす』(かんき出版)

なんらかのことが、別のきっかけになる作用のことだ。

周囲の環境は、無意識のうちに私たちの行動の引き金になっている。

たとえば、おいしい料理のにおいは食欲をかき立てるし、机の上にデザートをのせた皿を置くと、それを見たスイーツ好きの人は思わず食べたくなる。フレンドリーな人たちを見ると、私たちはより親切になって利他的な行為をしたくなる。

私たちを取り巻く何かが先延ばしのきっかけになり、別の何かが先延ばしをやめて目標に取り組むきっかけになる。

先延ばしグセを克服するには、好ましいきっかけになるように環境を整える必要がある。そして、先延ばしの衝動をもたらすきっかけになるものはすべて排除しなければならない。

つまり、よい行動のきっかけになるものを歓迎すべきということだ。

以上のことを日々の生活に取り入れるためのアイデアを紹介しよう。

ブラウザをスッキリさせる

ホットリンクやブックマークが目に入ると、気が散ってすべきことができなくなる。ブラウザはできるかぎりからっぽであるべきだ。

スマートフォンを遠ざける

スマートフォンをオフにするか、少なくとも機内モードにしよう。

そして、スマートフォンをできるだけ目に入らない場所に置こう。仕事をしているときに目に入ると、無意識にチラチラ見てしまうから、時間を浪費しやすくなる。

すべての通知をオフにする。スマートフォンやパソコンの通知は集中を乱して先延ばしの衝動を誘発しやすい。通知をオフに設定しよう。

スマホに「デジタルデトックス」の文字
写真=iStock.com/Tatiana Dyuvbanova
※写真はイメージです
机の上をきれいにする

これも同じことだ。机の上が散らかっていると、緊急でも重要でもないことを無意識にしてしまうきっかけになる。机の上はできるかぎりきれいにしておこう。

仕事と生活のスペースを片づける

整理整頓のできていない空間には、集中を乱すものがいたるところにある。仕事を効率的にやり遂げたいなら、本や雑誌、スマートフォンを見えないところにしまっておこう。「目に入らなければ、気にならない」は真実である。

働きやすい環境をつくる

目標と関連しているものは何か? 仕事をやり遂げるためのモチベーションを高めるものは何か? 目標達成に無意識に専念させるものは何か?

夜、本を読みたいなら、ナイトテーブルの上に本を置いておけばいい。仕事のプロジェクトをまとめたいなら、机の上に関連資料を置いておけばいい。心を落ち着けたいなら、机の上に小さな仏像を置いておけばいい。その他、名言を書いた付箋やイメージ画像など、モチベーションを高めるものはいくらでもある。

目標の達成を後押しする環境をつくるか、先延ばしグセを誘発する環境をつくるか、どちらがいいだろうか? それはあなたが選択することだ。

【関連記事】
"起床後すぐの3分間"が明暗を分ける…100歳でも杖ナシで歩ける人と80歳でヨボヨボの人との決定的な違い
踊るために「子どもが欲しい」とせがむ夫と離婚した…フラメンコに人生を捧げた「94歳の現役ダンサー」の来歴
「手取り10万円」を増やすより断然ラク…FP「今年中に必ず見直して」、家計に潜む"固定費貧乏"の罠
だから「真面目な日本人」ほど潰れる…休みの日に「メールを受け取ったドイツ人」が死守する"絶対ルール"
日本では国民病なのに、欧米人は「肩こり」に悩まない…カチカチ肩をスムーズにする「超ハード肩甲骨はがし」