イギリスの公立の小中学校で、弁当が禁止されることになるかもしれない。その発端は、英政府から委託を受けた民間の調査チームが、学校での食生活について最近まとめた報告書だ。
イギリスでは基本的に、給食(低所得家庭の子は無料、それ以外は有料)か弁当かは各家庭の意向で選べる。報告書によると、学校給食ではなく弁当を食べている子供たちは、全体の半数を少し超える57%。多くの親は、学校の給食よりも弁当のほうがヘルシーだと考えている。
だが実際には、給食と同等かそれ以上の良好な栄養バランスを保っている弁当は、全体のわずか1%。給食の内容が昔に比べて大幅に改善したことも一因だが、子供の好みや親の多忙さのせいか、マーガリンとジャムのサンドイッチに冷めたフライドポテトといった、あまり健康的とは言えない弁当がはびこっていると、報告書は指摘する。全面給食に移行した学校のほうが、生徒の学力が高いという事例も示された。
報告書では各学校の校長に、「弁当を禁止して生徒全員に無料で給食を提供すべき」と提言。とはいえ、総額約180億円とされる給食予算をどうひねり出すか、弁当支持派の保護者をどう説得するかなど、クリアすべき課題は多い。政府は低所得地域の学校から、段階的に実施していく方針のようだが……。