いったん大学に入ったものの、納得がいかずに翌年別の大学に再挑戦――。こうした「仮面浪人」とも呼ばれる再受験生が急増しているらしい。朝日新聞が報じた駿台予備学校の推計によると、6年前に約1万7千人だった再受験生が、今春の大学入試では約3万8千人にのぼったとみられる。
「大学では最近、中退者の増加が問題になっています」と言うのは、進路づくりプロデューサーの倉部史記氏。毎年およそ6万人、大学によっては入学者の3割が中退するという。その相当部分が、他の大学を再受験しているわけだ。
経済的にも精神的にも負担が大きい仮面浪人が、なぜ増えたのか。
「最大の原因は、入学後の教育と学生本人のミスマッチでしょう」と倉部氏。大学の広報はとにかく志願者増を目標にしがちで、個々の志願者が本当に自校にフィットするかまではサポートしきれていない。受験生や保護者も、偏差値ランキングや学部名、現役合格の確実性などの表面的要素だけで、急いで志望校を決めたがる。
「同じ名前の学部でも、内容や取れる資格は大学ごとに異なります。オープンキャンパスはもちろん、大学やNPOによる平日の授業見学会に参加したり、公表データの矛盾点を読むなどして、事前研究をしっかりやるほかありません」