“貯金は安心”という大きな誤解
日本のマネー教育でいちばんの課題は、「貯金」と「節約」の話ばかりで終わってしまうところ。家庭でも学校でも、「無駄遣いはNG」「貯金は多いほど安心」「投資は一部のプロがやること」、そんな空気がいまだに強く残っています。
でも、私はこれにずっと違和感があって。というのも、“貯金だけ”では、お金の価値は必ず“目減り”してしまうからです。
「なぜ減るの? 貯金は使わないで銀行に入れたままなら減らないでしょ」
そう思った人もいるかもしれませんね。それはそうです。下ろさなければ、銀行のなかの貯金額は変化しません。
でも、物価が全体的に上昇し続ける「インフレーション」が続く限り、お金の「実質的な価値」は必ず下がります。
たとえば、去年100円で買えたパンが、今年は105円に値上げされたとしたら、“インフレ率5%”ということ。1年後に同じお金で買えるものが減るわけだから、お金の“実質的な価値”が目減りしたことになります。
子どもに伝える“正解”とは
国によってインフレ率に違いはありますが、最近の世界全体の平均的なインフレ率は4~5%ですから、その分、お金の価値もマイナスになっている、というわけです。
だから、子どもに貯金について伝えるときは、「貯金したままほったらかしにしておくとお金はどんどん価値が下がっていくんだよ」と教えるのが正解!
もちろん、お金を無駄に使わないことは大切です。
病気やケガ、災害など、万が一のための備えになる「生活防衛費」は、用意しておくべきだと、私も考えています。生活防衛費は、毎月かかっている生活費×3~6カ月分が目安と言われています。
ですが、生活防衛費以外の資産のすべてを貯金していては、先ほどから言っている通り、今の超低金利のなかで、何年、何十年経っても金額はほぼ増えません。それどころか、インフレしていく世の中で、ただ目減りしていくだけなのです!
だから、貯金のほかに「投資」という選択肢があると伝えることが、マネー教育にはマスト。



