黒澤作品『七人の侍』に出演したことも
仲代さんは大きな目を見ひらいてそのセリフを叫んだ。絢爛な演技で、歌舞伎の見得を切る様子に似ていた。あの時の迫力は30年近くたった現在でもシーンは網膜に焼きついている。耳の奥底には仲代さんが扮したリチャード三世の声が残っている。演技とはすさまじいことなんだなとわたしはあの時、思った。
そんな仲代さんは90歳を超えても舞台に立っていた。90歳を超える高齢で舞台に立って素晴らしい演技を披露した俳優は新国劇の島田正吾さんと仲代さんだけではないか。
『リチャード三世』を見てから、10年以上も後のこと、わたしは仲代さんに話を聞く機会があった。それも2度だった。2度ともテーマは「映画における演技について」である。話を聞いた場所は世田谷区岡本にある無名塾の稽古場で、仲代さんの自宅でもある。ついでに言えば、取材を申し込むため無名塾に電話をかけたら、「はい、無名塾です」と聞いたことのある声だった。そう、仲代さん本人が電話を受けたのだった。
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