図を拡大
Never Give Up

今回も、あなたがたはできる。立て直せる。現実を正しく把握し、自信を持って、事に当たることが重要です。一生懸命に働き、新しい地域、新しい町、新しい人生を再建してください。その中で、大きな悲しみは、大きな自信へと変わっていくはずです。

人はみんな幸せを求め、苦しみを欲してはいません。これは、人類共通の思いです。もちろん、私もそうです。では、どうしたら幸せを手に入れることができるのでしょうか。

たくさんのお金を儲ける、いい家に住む、社会的に高い地位に就く、あるいはよき友達を得る――。こうしたことは、人にある程度の幸福感と満足感を与えてくれるでしょう。しかし、それは外面的な幸せです。

精神的な成長を遂げることで得られる内面的な幸福。これが伴わなければ、外面的な幸福は長続きしません。心の中に何かが足りないと感じていれば、どんなに高級品に囲まれた暮らしをしていても、幸福は実現しないでしょう。

大切なのは、「心の平和」を築くということです。心と意識を落ち着かせれば、不安や心配も自然とおさまり、もっとずっと幸せな気持ちを楽しむことができます。

私のアメリカの知人に、億万長者と言ってもいいようなお金持ちがいます。しかし、その人は、物質的にはすべて恵まれているのに、心の中は非常に不幸な状態でした。心の奥底には、いつも心配事と孤独感が満ち、恐れとストレスに悩まされていたのです。

このことは何を示しているのでしょうか。それは、お金や物では心の中に平和を築くことはできないということです。お金や物で肉体的なレベルの快適さを得ることはできます。しかし、精神的なレベルでの平和というものは得られません。

もし誰かがスーパーに行って、「『心の平和』を売ってください」と言ったとしたら、その人は笑われるだけでしょう。

「心の平和」というのは、自分自身の努力によって、自分自身でつくり出さなければならないものなのです。

チベット仏教最高指導者・法王 ダライ・ラマ14世
1935年、チベット東北部のタクツェルで生まれる。38年に第13世ダライ・ラマの生まれ変わりと認定され、40年に第14世ダライ・ラマとして即位する。中国当局との関係悪化により、59年にインドへ亡命。89年にノーベル平和賞を受賞。2011年、亡命チベット人による選挙の結果選出された首相に政治的権限をすべて委譲する。
(樺島弘文=構成 小倉和徳=撮影 Getty Images=写真)
【関連記事】
検証!なぜ人は46歳が一番不幸なのか
「ツイていない自分が変わった」きっかけ分析
ダライ・ラマ14世「幸せを掴む思考のルール」【1】
今の20代はなぜお金がなくても幸せなのか
自殺を考える若者が増加、何に悩んでいるか