笑いは何にも勝るという信念

また、「トカゲのおっさん」は、胴体がトカゲになった中年男性という摩訶不思議な存在に松本が扮するドラマ仕立ての長編コント。トカゲのおっさんが悲哀を漂わせながら人間の世界を淡々と、だが健気に生きていく姿は、コントの域を超越してしまっている。シュールすぎるほどシュールだった。

こうした突き抜けたコントによる笑いが日曜8時台のゴールデンタイムで堂々と放送されていたという事実に、いまさらながら驚く。そこまで新しさを感じないというひとがいるとすれば、先ほどの長谷川のように「松ちゃんの宗教に入った人間」である後輩芸人たちが、その後こぞって松本的な笑いをお手本にするようになったからだ。