高市早苗首相は10月28日、アメリカのドナルド・トランプ大統領と会談し、レアアース(希土類)の供給確保に関する合意文書に署名した。スマートフォンから戦闘機まで、あらゆる最新機材に欠かせないレアアースは今、中国が市場をほぼ独占している。かつてレアアースの生産で首位を占めたアメリカは、いかに中国に翻弄され凋落したのか。海外メディアがその悲運の歴史を報じている――。
会談終えた米中首脳 米中首脳、貿易合意か
写真=ゲッティ/共同
会談を終え、握手を交わすトランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席=2025年10月30日、韓国・釜山

対中国でいっそう強固になった日米関係

トランプ氏は高市氏との会談で、日米同盟の重要性を繰り返し強調した。ワシントン・ポスト紙によると、トランプ氏は高市氏に対し「何か質問や疑問、頼みごとがあったり、私が日本のためにできることがあったりするなら、力になる」と明言。「我々は最も強固な同盟関係にある」と強調した。

背景には世界のレアアース供給をほぼ独占する中国への対抗意識がある。日米が署名したレアアースに関する合意文書の内容は、実に広範囲に及ぶ。ホワイトハウスは声明を通じ、日米が鉱山開発から加工、製造に至るまで、レアアースのサプライチェーン全体で協力すると言及。中国への依存を減らす狙いだ。

レアアース供給の逼迫は、すでに日本企業にも実害をもたらしている。ロイター通信は6月、スズキが主力車種「スイフト」の生産を5月26日から停止したと報道。中国が4月に多種にわたるレアアースと希少な磁石の輸出を停止したことを受け、部品調達が困難になったためだ。同社は6月中旬に生産を再開している。

中国がレアアースの最大90%を掌握

今日レアアースがこれほどまでに重要視されている理由は、その用途の広さにある。

レアアースは17種類の元素の総称で、国防から民間産業まで広く使用される。アメリカのライス大学ベイカー研究所のリポートによると、F-35戦闘機では1機あたり約420キログラム、イージス艦1隻あたり約2400キログラムが必要とされる。電気自動車や風力発電といったグリーン技術にも欠かせない。

つまり、防衛から環境対策まで、現代社会の基盤技術の多くが中国からのレアアース供給に依存している状況だ。同リポートは、中国は世界の希土類鉱物の採掘量の約60%を占め、精錬に至っては85%のシェアを握ると分析している。

一方、ニューヨーク・タイムズ紙は、分野によってはさらに寡占が進んでいると指摘。電子機器や電動モーターに使用される希土類磁石の世界生産量では、中国が90%を占めているという。