原子力を国策の基幹産業とするフランス政府にとって、EVは望ましいモビリティである。伝統的に強い産業政策を是とすることもあり、フランス政府は引き続き、EVシフトを重視する。フランス政府はスペイン政府と共に、2035年までに新車のEVシフトを実現する目標を堅持するよう欧州委員会に対して書簡を送ったと報じられている。

一方、フランスの自動車業界は、EV生産に伴う事業リストラのみならず、中国製の廉価なEVの脅威にも晒され、EVシフトへの疑義を強めている。同様の構図は、スペインにも共通するところがある。左派連立政権であるスペイン政府は、環境保護の観点からEVシフトを重視する。一方、自動車業界はEVシフトの方針に反発を強める。

2025年1月28日、フォンデアライエン委員長とマクロン大統領
2025年1月28日、フォンデアライエン委員長とマクロン大統領(写真=Christophe Licoppe/European Union, 2025/EC-Audiovisual Service/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

それにスペインの場合、政権が少数与党だという問題もある。第一党である中道右派の国民党は財界寄りであり、社会労働党が推進してきた環境政策に対しても修正を求めている。民意もかつてほど環境対策を支持しておらず、EVシフトにも見直しの余地がある。にもかかわらず、議会の過半を得ていない政権は、それを認めようとしない。