あえて自分から辞職願を出したワケ

将軍家斉(城桧吏)に嫡男の竹千代が生まれ、大名たちが続々と祝いに駆けつける場に定信も現れるが、家斉とその実父の一橋治済(生田斗真)に向けて出されたのは、将軍補佐役のほか、財政を握る勝手掛、大奥を管理する奥勤めの辞職願だった。

家斉ももう20歳で、世継ぎも生まれ、自分が将軍補佐を務める必要はもはやない、というのが定信の建前で、本音では定信がうっとうしい家斉と治済は、それを受け入れようとする。だが、そこで尾張藩主の徳川宗睦(榎木孝明)が異議を申し述べた。風紀の是正から度重なる異国船の到来まで、対処すべき難題が多いなか、定信以外に局面を乗り切れる者はいない、という内容で、その結果、定信は将軍補佐役にとどまることになった。