狭い社会では情報が権威につながる

この例を報告した言語人類学者のエリノア・オックス・キーナンによれば理由は二つあるというが、いずれもマダガスカルが同族の者で成り立っている、狭い社会であることと関係している。

一つは、マダガスカルでは事実をはっきり主張することを恐れているからだ。例えば「カップを割った人は誰だ?」と聞かれて、犯人を突き止める発言をすることはリスクになる。誰かに自分や家族が報復される危険が高まるからだ。

また、マダガスカル社会ではほとんどすべての活動が衆目にさらされているため、新たな情報は貴重であり、それを持つことが権威につながるということもある。だからこそ、このようにまわりくどい言い方をして、簡単には新しい情報を与えないようにするわけだ。