卒業証書から始まった「不信の連鎖」
静岡県伊東市で起きた市長の「学歴詐称」問題が、いまだに終わりを見せません。発端は、田久保眞紀市長が「東洋大学を卒業した」と公言しながら、卒業証書の提示を拒み続けたことでした。辞職もしないまま、説明を避ける姿勢に、市民とメディアの視線は日に日に厳しさを増しています。
伊東市は「小さな政治劇場」となりました。この騒動をきっかけに、人口6万人の街が思わぬ形で全国の注目を集めました。とりわけ総工費100億円の新庁舎。市民の間では「100億円御殿」とよばれているそう。家康ゆかりの地に建てられたその庁舎は、「見栄」と「誇り」が入り混じったトップリーダーを象徴しているようにも映ります。
なぜ、地方都市の一市長の学歴が、これほどまでに全国的な話題になっているのでしょうか。本稿では、プレジデントオンラインがこれまで配信してきた5本の記事を通して、「田久保劇場」と呼ばれる一連の騒動の本質を探ります。浮かび上がるのは、学歴そのものではなく、「説明しない」「謝らない」「辞めない」という態度が生む不信の連鎖です。
SNSやテレビで取り上げられるたびに、なぜか“応援団”が増えていくという逆説的な現象も起きています。情報が簡単に拡散する時代に、発信力や「被害者ポジション」がどのように作用するのか。一連の騒動から見えるのは、私たち自身の社会が抱える“リーダーの在り方”そのものなのかもしれません。
「田久保劇場」の伊東市役所は船を模した「100億円御殿」…中継で「チラ映り」する立派な庁舎と家康の意外な関係
(2025年9月10日公開)
田久保市長の学歴詐称疑惑でテレビ中継によく映るのが、地方都市にしてはあまりに立派な伊東市役所庁舎だ。元静岡新聞記者でジャーナリストの小林一哉さんは「船の形をした庁舎は徳川家康ともつながりがある。約100億円をかけ、1995年に地上8階地下1階の高層棟と地上4階地下1階の低層棟が建てられた」という。<続きを読む>
なぜ伊東市長の学歴詐称問題は終わらないのか…東洋大関係者が見た「田久保劇場」というドロ沼の正体
(2025年8月27日公開)
田久保市長の学歴詐称疑惑をめぐる騒動が続いている。なぜ注目を集め続けるのか。元東洋大学研究助手で、神戸学院大学の鈴木洋仁准教授は「田久保市長の『謝らない謝罪』にこそ、私たちがこのニュースに目を奪われ続ける理由があるのではないか」という。<続きを読む>
なぜ人口6万人の伊東市長の「学歴詐称」が"祭り"になっているのか…東洋大学関係者だから気付いた根本原因
(2025年7月11日公開)
田久保市長の学歴詐称疑惑が話題だ。田久保市長は辞職したうえで市長選挙に改めて立候補する考えを明らかにしている。元東洋大学研究助手で、神戸学院大学の鈴木洋仁准教授は「東洋大は知名度が高いものの、超高偏差値ではない『絶妙な立ち位置』にある。そうした大学の卒業にまつわる『疑惑』だからこそ、耳目を集めているのではないか」という。<続きを読む>
伊東市長が大卒かどうかはどうでもいい…岩田健太郎「田久保眞紀氏が一連の騒動で証明してしまったモノ」
(2025年9月20日公開)
田久保市長の学歴詐称疑惑をめぐる騒動は今も続いている。感染症医の岩田健太郎さんは「大学の卒業証書をもらっていようが、もらっていまいが、そんなことはどうでもいい。だがそのような『どうでもいいこと』に拘泥してつまらぬ言い訳を繰り返す不誠実さは、政治家としての職能欠如を端的に表している」という―ー。
私は「学歴」に関心がない。関心がないだけなので、別に「学歴」を憎悪しているわけでもなく、「反学歴」主義なわけでもない。とにかく興味がないのだ。誰かを雇用するときも、出身校を採否の根拠にすることは皆無だし、ほとんど見てもいない。雇用したあとも各人の出身校も覚えていない。私の職場界隈は、むしろ「学歴」に非常に関心が高い人達が多いので、私が各人の出身大学に無関心で無知なことに呆れ返っている。<続きを読む>
テレビで扱うほど「田久保応援団」は増えていく…「辞めない」「卒業証書見せない」田久保市長が狙う「ゴネ得」
(2025年9月5日公開)
田久保市長に日本全国がクギ付けだ。学歴詐称疑惑が発展した結果、市議会では不信任決議案が全会一致で可決した。しかしながら、なぜ一地方都市の首長が、ここまで注目されるのか。その背景にある要因を考察すると、「ワイドショー化」されやすい理由が見えてきた。<続きを読む>







