キングメーカー争いが死語になった

自民、公明両党が衆参両院で過半数を有していた24年の前回総裁選は、菅義偉元首相(現副総裁)がキングメーカーだった。小泉氏を積極的に擁立し、第1回投票で3位に沈むと、決選投票では小泉陣営の票を石破氏に寄せ、セカンドベストの石破政権を作った。岸田文雄前首相も、決選投票前に旧岸田派内に「高市氏以外」と指示し、石破氏を押し上げた。麻生太郎元首相(現最高顧問)は、菅氏に対抗して、高市政権を作ろうと、麻生派内をまとめようとして失敗し、非主流派に転落した。3氏はキングメーカーの座を競ったのである。

しかし、衆参で少数与党になった今回の総裁選はどうか。多党化時代を迎え、3党が集まらないと、安定政権を作ることができない。首相は、自分がやりたい政策を実行できず、野党にひたすら頭を下げないと、政権や国会を運営ができない。比較第1党に過ぎない自民党の総裁をキングと呼べるのか。

菅氏は、前回同様に小泉政権を目指し、キングメーカー然としている。岸田氏は、林氏による宏池会(旧岸田派)政権を積極的に作ろうとせず、小泉陣営に側近の木原誠二選挙対策委員長や村井英樹元官房副長官、小林史明環境副大臣が入ることを容認している。麻生氏に至っては「次は短命政権だな」と周辺に嘯き、勝ち馬に乗ろうとしてか、小泉、高市、茂木、小林の4氏のうち誰を推すのか、明らかにしていない。