自民党総裁選の投開票が10月4日に行われる。そんな中、「週刊文春」が2週にわたって小泉進次郎氏をめぐる疑惑を報じ、波紋を広げている。神戸学院大学の鈴木洋仁准教授は「文春報道に加えて、ひろゆき氏が司会を務めた討論会でのやりとりが、進次郎氏には大きな痛手となったのではないか」という――。
9月27日(土)19時配信「ひろゆきと語る夜 #変われ自民党 日本の未来を語れ!」番組告知
画像=プレスリリースより

「小泉進次郎総理」が爆誕かと思われたが…

自民党総裁選で盤石と見られていた小泉進次郎氏の優位が、ゆらいでいる。報道各社の情勢調査では優位を保ってきたものの、先週、「週刊文春」が「小泉進次郎『卑劣ステマ』を暴く!」と報じてから風向きが変わったのではないか。

朝日新聞が9月29日までに行った調査によれば、自民党所属の国会議員295人のうち、小泉氏は72人からの支持を集めトップに立ってはいるものの、2位には57人を集めた林芳正氏がつけており、猛追をうけている(「自民総裁選、議員票首位は小泉氏、追う林氏、高市氏は3位 朝日調査」朝日新聞デジタル、2025年9月30日12時配信)。

若く、清廉なイメージだった小泉氏が、汚い手段を使っていた。「ステマ」報道以来、投票資格の有無にかかわらず、世論には、そんなムードが漂っている。この空気が、小泉氏ではなく、林氏の勢いを加速しているのだろう。

そこに追い打ちをかけたのが、2ちゃんねる創設者のひろゆき氏だった。9月27日に行われたネット討論会「ひろゆきと語る夜 #変われ自民党 日本の未来を語れ!」で司会を務めたひろゆき氏とのやりとりが、進次郎氏には大きな痛手となったのではないか。

ステマより、チームの「ゆるさ」が不安

質疑応答は、前述の「ステマ」から始まった。問いかけとしては、「『ステマ』に関してどう思うのか」、だったものの、もちろん、週刊文春の報道、つまり、進次郎氏陣営による、「サクラ」コメントをめぐって各候補が答えた。

最初の質問のためか、総裁選への立候補届出順での答えがつづき、最後に回ってきた小泉氏は、次のように答えた。

(「ステマ」指示を)知らなかったとはいえ、最終的に、私を支援してくれている議員のもとで、私の当選のために起きたことですから、私として本当に申し訳なく思っています。

「知らなかった」かどうかは問題ではない。あまりにもお粗末な「ステマ」を組織的に行っていただけではなく、その指示が、いとも簡単に週刊誌に流れる、その情報管理をはじめとするガバナンスが不安を抱かせるのではないか。

「ステマ」のような汚い手を使うからとの点で、彼が批判されているのではない。それよりも、そのやりとりがダダ漏れするような、そんなぬるくてゆるいチームが彼を支えていること、そして、そのチームすら統制できないところが心配なのである。

先に挙げた、ひろゆき氏の質問に対しても、まるで用意された紙を読み上げているかのようで、当意即妙とは言いがたい。わざわざ「ステマ」一般に広げているのだから、あらかじめ持っていた答えではなく、もっと自由に発言すべきだった。実際、最初の順番だった小林鷹之氏は、進次郎氏の話題に限らず、「外国からの情報干渉」についての持論を展開した。

他候補の答えと比べると、上に引いた進次郎氏の答えは、懸念を拭い去るどころか、贔屓目で見ても現状維持に過ぎなかった。