健康で長生きするためには、どんなことに気を付けたほうがいいか。日本整形外科学会認定専門医の吉野匠さんは「足の痛みを軽視してはいけない。正常な足はアーチ状の構造になっているが、アーチが崩れるとさまざまな不調につながる」という――。

※本稿は、吉野匠『あなたの不調、足の「アーチ」が解決します!』(自由国民社)の一部を再編集したものです。

歩く子供の足
写真=iStock.com/MARIIA MALYSHEVA
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「足の痛み」を放置するのはリスク大

「足が痛い……」と悩んでいるのに、家族や周囲に話しても理解されず、「気のせいじゃない?」「そのうち治るよ」と軽く流されてしまったことはありませんか?

そんな言葉を受けて、「そうかもしれない」と自分を納得させ、放置してしまう方も多いのではないでしょうか。しかし、「足」は私たちの体と大地をつなぐ大切な接点であり、毎日の生活に欠かせない重要な部分です。

それにもかかわらず、普段のケアがおろそかになりがちなのが実情です。現代のライフスタイルや環境の変化により、足のトラブルは年々増加しています。放置すると、進行して歩行が困難になるケースも少なくありません。

だからこそ、日頃のケアが非常に大切なのです。この本を手に取ってくださったあなたには、ぜひ「足の痛み」を軽視せず、その原因をしっかりと理解していただきたいと思います。

私は横浜市で20年以上、整形外科クリニックを営んでいます。整形外科は、骨や関節、筋肉や神経など、全身の幅広い症状に対応する診療科ですが、私のクリニックを訪れる患者さんでとりわけ多いのは「足のトラブル」を抱えた方々です。

その理由は、私が整形外科の中でも珍しい分野である「足の外科」を専門としているからです。実は、足には100種類以上もの疾患があります。しかし、それらを的確に診断し、治療できる医師は限られているのが現状です。