「今日より明日をよくしよう」

住友商事 代表取締役社長 
中村邦晴氏

僕は部長時代、20歳も年下の入社5~6年目の部下から「怒られた」ことがあった。僕が「やろう」と言えば、部下は「やりましょう」と応えてくれる。それは上司が言うからなのか、それとも本心からそう思うのか。飲み会の場で聞いたとき、部下たちが怒り出したのだ。

「僕らのことを、部長が間違っていても黙って従うような人間だと思っているのですか。僕らは部長がやろうとしていることは正しいと思うから応えた。おかしいと思ったらおかしいと言う。部下をもっと信用してください」と。この部下たちとだったら一緒に仕事ができる。彼らがいる限り大丈夫だ。僕は心から思った。思いをぶつければ、思いが返ってくる。そうやって、人と人のつながりが生まれる。入社40年、僕の人生はその都度、「思いの理解者」と出会いながら、1つ1つ仕事を積み上げてきたように思う。