内部留保と平均年収の関係
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内部留保と平均年収の関係

3月決算の企業の場合は2009年4月から10年3月までを09年度とし、10年6月末までに提出済みの各社の有価証券報告書をもとに、08年度と09年度で内部留保がいくら増えたかをもとにランキングしたのが表である。

特徴的なのは、情報・通信業のNTT、NTTドコモ、KDDI、銀行業のみずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、商社の三菱商事、住友商事といった堂々たる老舗企業が上位にきていることだ。

経営のスタンスとして従来から内部留保を重視してきた10位の武田薬品工業や、14位の任天堂がランクインしているのも、予想したとおりの結果といえる。

一方で、15位から28位の間にはソフトバンク、ヤフー、楽天といったインターネット系の新興企業の名前も見える。

老舗企業と新興企業が同じ土俵に上がっているということ自体、時代を象徴しているといえそうだ。たとえば10年前なら、このような“混在”はありえなかっただろう。

それだけソフトバンクやヤフー、楽天が力をつけてきたということだ。では今後も、次の新興企業群が老舗の間に割って入るようになるのだろうか。

この先10年を予測してみると、グリーやディー・エヌ・エーなど現在のネット系ベンチャーがソフトバンクや楽天のように巨大化していくためには、大きな変革を期待しなくてはならないだろう。その意味で、老舗と新興企業との混在ぶりは、現代という時代を象徴する景色といえるのかもしれない。

次に、09年度の一人あたり累積内部留保と平均年収の増減とを比較してみよう。一人あたりの累積内部留保が1億円を超えているのは、NTTドコモ、武田薬品工業、任天堂、国際石油開発帝石の4社である。

ところが、08年度と09年度の平均年収の増減額を見てみると、NTTドコモ、武田薬品工業、国際石油開発帝石の3社はほぼ横ばい、任天堂は58万円減となった。大幅増額どころではないのである。