「思い込みの罠、見落としの穴」を防ぐ
木の幹から枝が分かれていくように問題の原因や解決策をツリー状に分解して整理するロジックツリーは、さまざまなビジネスシーンで見かける。
しかしよく見ると、ただツリー状に思いつきを羅列しているだけで問題の原因追求が甘かったり、当然想定される解決策が漏れていたりするいい加減なものが少なくない。
「ツリーの空いている箱を埋めていけばよい」と形だけ真似て、考えたという状況証拠を積み上げても、結局チープな解決策しか生み出せない。そんな施策を実行しても、効果がないだけでなく、現場はかえって混乱する。ロジックツリーという“フレーム”の正しい使い方を理解すべきだ。
ロジックツリーは、問題解決にあたって「原因の追求」→「解決すべき課題の決定」→「解決策の具体化」の流れの中で利用できる。
まず「原因の追求」では、現象として見える問題に対して、「WHY?(なぜ)」を何度も繰り返しながら原因を“超”分解し、根本的な問題に迫る。
次に、原因追求により発見した根本的な問題を「解決すべき課題」と設定し、改めてツリーの出発点に置く。そして「SO HOW?(だからどうする)」を繰り返しながら、実際のアクションに結びつく具体的な解決策を見出す。
それらの流れの中で、留意すべき点は次の2つだ。まず全体を俯瞰し問題の広がりを「モレなくダブリなく」押さえること。これは「MECE」(ミッシー)と呼ばれる概念で、ロジックツリーとともにもともとはマッキンゼー社の考え方だ。
もう一つは、ツリー間の因果関係をきちんと押さえることである。よく見られる失敗例に、現象と原因の混同がある。原因を究明するためのロジックツリーであれば、現象から出発して原因へと深掘りしていくべきところを、逆転させてしまうのだ。笑い話のように聞こえるかもしれないが、「売り上げが落ちている」→なぜか→「消費者に伝わらない」→なぜか→「売り込みが不足している」というような因果分析をよく目にする。一見問題なく思えるかもしれないが、これではいつまでたっても原因の深掘りはできないし、結局最初から思い込んでいた的外れな解決策しか見えず、時間と資源のムダだったということになる。