中道左派による賃金引上げが競争力低下の主因
SPDがなぜ最低賃金制度の導入に躍起だったかというと、メルケル元首相の前任であるゲアハルト・シュレーダー元首相の下で実施された労働市場改革を問題視していたためだ。シュレーダー元首相はSPD出身だが、1990年の東西再統一以降、低迷が長期化していた経済の体質改善のために、労働市場の弾力化に向けて大鉈を振るった。
労働市場の弾力化によって、ドイツの労働コストは低下した。さらに欧州連合(EU)の統一通貨であるユーロを導入したことで、ドイツは実質的な為替の切り下げを行うことができた。その結果、ドイツの国際競争力は改善し、経済の低迷を脱することが出来たのだが、一方でドイツ国内では所得格差が拡大するという別の問題が出てきた。
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