世界的傾向で見ても、以前は強いリーダーが求められていたが、今は、サーバント(奉仕型)リーダーシップが必要とされている。ビジネスマナーを教えるにしても、よりわかりやすいように上司が部下と同じ目線まで下りて丁寧に伝えることが求められる。その際、してはいけないのが、「常識」「それがマナー」と突き放すこと。常識がなければ「会社が恥をかく」ではなく、「君が損する」、こうすれば「君にプラスになる」と、個人を主体に考えさせる、合理的な説明が必要になる。

「ビジネスマナーもテンプレート化することが重要。詳細なトゥ・ドゥ・リストをつくり、ひとつずつクリアさせるのです。ただし、ビジネスマナーが構造的に変わったわけではありません。かつての常識はそのままに、それを逐一テンプレート化して教えることが必要になっただけです」(高城さん)

「甘やかすな」「今の若者は」と言うのは簡単である。が、古代エジプトの石碑にも残されていたように、いつの時代でも上の世代はそうやってぼやいてきたのである。だからこそ、70年代であっても社員教育を訴えるビジネスマナー書が売れたのだ。時代が変われば教え方、学び方は変化するもの。その変遷が各時代のベストセラーに顕著に表れている。40年の時代の香りに浸りつつ、マナーの本質をもう一度見直してみるのもおもしろいだろう。

●できる大人なら、的確な日本語使用が必須
『できる大人の モノの言い方大全』
話題の達人倶楽部・編集/青春出版社
若者言葉に慣れた現代人のための言葉遣い集。時候の挨拶、クレーム処理などなど、シーン別で使える的確な日本語を網羅。フレーズを覚えるだけでコミュニケーション上手の「できる大人」になった気分を味わえるのも◎。

●ぶれない自分軸を持って、上をめざせ
『入社1年目の教科書』
岩瀬大輔著/ダイヤモンド社
華麗な経歴をもつ著者によるビジネス指南本。
「常に勉強の意識を持ち」グローバル社会でさらに上をめざすために必要なマナーが満載。仕事の進め方、周囲の人間への接し方の極意が丁寧に書かれているのも、ヒットの理由。

エリエス・ブック・コンサルティング代表取締役 土井英司
出版コンサルタント、「ビジネスブックマラソン」編集長。1974年生まれ。慶応大学卒業後、Amazonのバイヤーを経て、2004年、エリエス・ブック・コンサルティング設立。

セレブレイン代表取締役社長 経営・人事戦略コンサルタント 高城幸司
1964年生まれ。同志社大学卒業後、リクルート入社。96年、独立・起業情報誌「アントレ」創刊。2005年、独立し、セレブレイン代表取締役社長に就任。
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