ワイングラスを手に毎晩夫婦で白熱の議論
結婚以来、同志として生きてきた2人だ。「こう見えても、私、ずいぶん、夫を立てたのよ」と言うものの、現在、80代になる夫婦の姿をみれば、なんと先駆的な夫婦なのかと思う。イタリア留学に際して、夫の身内からは、「内助の功」を説かれた。妻は夫を支えるものというのが一般的な夫婦像の時代だった。そんな時代にあって、勲さんは、育児を肩代わりしながら、妻の音楽への思いを、自分の情熱と同様に尊重していた。
「みべ音楽院」を拠点とした、夫婦共同での後進育成の日々は、5年にも満たないものとなった。勲さんが元気だった当時、夜は2人で杯を交わすのが常だった。
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