思い出に残るサプライズ

親を喜ばせるには基本的にサプライズがいいと思います。それには内容より、事前にバレないよう計画を進めることが大切です。

僕は1993年に初めて来日し、1年目のクリスマスはお金がなくて帰れなかった。で、2年目のクリスマスはお金も貯まって休みもとれていたけれど、母には「帰るお金がない」と嘘をつきました。クリスマスは家族が集まる年に1回だけの大イベントなので、母は凄くショックを受けていました。

しかし僕はそのまま黙ってクリスマスイブに帰国し、教会に向かいました。その夜、母は教会の聖歌隊で歌うことになっていたのであらかじめ指揮者のOKをとり、ローブを着て母が来る前に聖歌隊の中にまぎれこんだんです。

母が入ってくるとみんながざわつき始めました。なんだろうと思って母がまわりを見渡すと、聖歌隊のなかにいる僕を発見! 母は大喜びで泣き出して、思い出に残るクリスマスになりました。

サプライズをするなら、自分の登場に凝った演出をするといいです。たとえば両親に2人きりの温泉旅行をプレゼントして、両親が宿に着いてみたら、実は自分も隣りの部屋を取って待っていたとか。

両親に限らず、僕はこういうサプライズをよくやりますが、相手の性格はよく考えないといけません。どんなに楽しいプランを立てても、「なんでこんなことするの!」って怒る人もいますからね。

僕が両親と会うのは年に1、2回。毎年僕が帰国し、ときどき向こうが日本に来ます。両親は離婚しており来日するのは片方ずつなので、何をするかはそれぞれの性格に合わせてプランを立てます。

僕は海外に1人で行っても何とかなるタイプですが、母は違います。以前、僕が福井に住んでいたときに「成田空港から福井まで電車で来て」とお願いしたことがあります。しかし母の住むコロラドには電車がなく、あまり慣れていなかったので、東京駅で途方にくれてしまいました。そのときは幸い、優しい日本人のおじさんが母を助けてくれましたが、いまでも母には「あんたのせいでどんなに辛い思いをしたか」と言われます。2度とあんな思いはさせたくないので、今は絶対に1人にはしません。逆に父は冒険したいタイプなので、放っておいてもかまわない。