ユニクロとの違いは“売り切れご免”

「世界中に工場」「世界的に受け入れられるデザイン」で低価格が可能に!(ユニクロとの比較)
図を拡大
「世界中に工場」「世界的に受け入れられるデザイン」で低価格が可能に!(ユニクロとの比較)

東京の原宿に不況知らずのスポットがある。明治通り沿いの一角、地下1階、地上4階建ての白いビルの前には、平日も若い女性の行列が絶えない。

流行最先端のLAファッションを安価で売る「フォーエバー21」。トップス250円、スカート1380円という破格プライスは当たり前。色やデザインを見る限りは百貨店で5~10倍の価格で売られているものと遜色ない。このご時勢にもかかわらず来店客の購買率は50%を超えているという。

フォーエバー21を筆頭に、ZARA(スペイン)、H&M(スウェーデン)、TOPSHOP(イギリス)などグローバル衣料チェーンが展開する“最先端の流行を低価格で提供するファッションスタイル、およびそのビジネスモデル”をファストファッションと呼ぶ。

流通ジャーナリストの金子哲雄氏によれば、ファッションに対する顧客ニーズのうち、上位ふたつの(1)安い、(2)かわいい、に特化したのがファストファッション。「デザイン、色などトレンドの取り込みにプライオリティを置くかわり、品質は、5回洗濯したら型崩れするかもという水準です」(金子氏)。

「1万円のスカートを5年着続けるより、1500円のスカートを年ごとに買って最新ファッションを身に着けたい」という10~20代女性の感覚が各社の戦略に一致し、ヒットしている。

商品が安い秘密は、ひとつには発注ロット数の多さ。世界中の店舗で同一商品を販売しているので、大量生産によるコストダウンを実現している。ただし少品種大量生産体制をとるユニクロと比べれば、多品種少量生産といえるのがファストファッションだ。1店舗に納品される数を絞り、売り切ったら追加生産はしない。商品は1週間で入れ替わるサイクルで、消費者の来店頻度を上げ、そのときに買わないと次に来たときには売り切れているという仕掛け。この点においてもユニクロとは対照的である。売り切れは顧客への非礼、かつ販売機会ロスととらえるのがユニクロだ。売れ行きがよい商品は即時追加生産し店舗に投入する。