「時間」という資産は、誰にとっても有限だ。ところが、その使い方は人によって驚くほど違う。いつも時間が足りない人と、仕事が終わる人の違いはどこにあるのか。「プレジデント」(2017年3月6日号)より識者の助言を紹介しよう。今回は「上司への直言」について――。

上司に直言するといっても、言いたいことを言って溜飲を下げたいわけではないでしょう。ふつうは、自分が意見することで上司に判断や行動を変えてもらいたい、という目的があるはずです。だとしたら、効果的な言い方やタイミングを考えなくてはなりません。その際には上司のタイプを見極めることが大事です。

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もし「おれのやることはなんでも正しい」と考える「暴君型」なら、直言は無謀です。ただ、そういう人でも、「このタイミングでこの言い方をすれば、聞いてくれる」という場面はあるはずです。じっと観察したり先輩の意見を聞いたりして、「そのとき」を待ちましょう。

自分の仕事の流儀にプライドを持っている「職人型」の場合、日頃からその流儀を学び敬意を示すことで、意見を通しやすくなります。

「好きにやっていい」という「放牧型」には、直言もしやすいでしょう。ただ、関係をつくるうえで気をつけるべきなのは、経過報告を欠かしてはならないということです。これを怠ると、上司は「軽んじられた」と感じ、関係が悪化します。最も直言しやすいのは、部下との意見交換を厭わない「コーチ型」の上司です。どんどん自分の意見を伝えていけばいいでしょう。

▼どのタイプかで言い方&タイミングを変える
(上司のタイプ/注意点)
【暴君型】/どんな場面なら聞いてくれるかをまず探る
【職人型】/相手のやり方を徹底して学び、敬意を込めた伝え方で
【放牧型】/「このやり方で進めていいですか?」。提案・経過報告を忘れずに
【コーチ型】/聞く耳を持つ上司。どんどん意見を伝えるべし

いずれの場合も、上司の人間性を踏まえて適切に対応し真の目的を果たすのが、賢い部下のあり方です。

▼「暴君」か「職人」か、上司のタイプを見極めてから行動

本田有明
本田コンサルタント事務所代表
日本能率協会を経て人事教育コンサルタントとして独立。『結果主義のリーダーはなぜ失敗するのか』(PHPビジネス新書)など著書多数。
 
(構成=久保田正志 撮影=永井 浩 写真=iStock.com)
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