仕事の効率化、上司とのランチ、勉強に運動……。その疲れの原因は脳にあった! 医師と心理学者が24時間の正しい過ごし方を解説。

「現代人は知らぬ間に自律神経を乱す生活をしている」

「人間をはじめとする生き物には体内時計が備わっています。このリズムに従ってその時間帯にふさわしい行動をとれば、同じことをしても、ほかの時間帯に比べて効率よくできるし、成績もよい。反対にこれに逆らえば効率も悪くミスをしやすくなります」

写真=iStock.com/WestLight

というのは千葉大学大学院人文科学研究院の一川誠教授だ。地球上の生き物は太陽が昇ったり沈んだりするのに合わせて、自分の体も同じリズムで活動するようになった。これを概日周期という。

「寝ているあいだ、私たちの体は代謝が落ちています。それが起床から徐々に上昇し、夕方頃ピークを迎える。ピークを過ぎると再び落ちて、就寝中に低下する。代謝の盛んな時間帯は人間の精神活動も活発になります」(一川教授)

たとえば記憶力は夕方に、論理力は午前中に高まるし、深夜から未明、午後の早い時間帯にはミスが発生しやすいという傾向がある。生き物としての本能に沿った行動をとると、自然と効率のよい働き方や休み方につながるのだ。

一方、「現代人は知らぬ間に自律神経を乱す生活をしている」と指摘するのが東京疲労・睡眠クリニックの梶本修身院長である。

「現代人は通勤時間を含めれば1日10時間以上働いています。電気が普及するまではもっと短時間しか働かなかった。人間の体は昔のままなのにライフスタイルだけが変わったため、無理をしています」

夜中まで蛍光灯の下で残業したりするのは、副交感神経が優位であるべき時間帯に、交感神経を優位にしてしまうことになり、自律神経を酷使してしまうのだ。

「自律神経の中枢がある脳の視床下部と前帯状回という部分が疲れていると、私たちは疲れたと感じるのです。この疲労感を放置しておくと、仕事の能率が落ちるばかりか、高血圧や脳卒中などの病気にもなりかねません」(梶本院長)

あなたも自律神経を酷使しているかもしれない。ぜひチェックしてみてほしい。