仕事にかけられる時間には限りがあります。「もっと時間があったら、もっと良いアイデアを考えられたのに……」というのは言い訳でしかありません。パナソニックシステムソリューションズジャパン部長の木部智之氏は、「時間がないなら、効率的なやり方に変えるべきだ」と言います。限られた時間で最高のアイデアを生み出す方法を紹介しましょう――。

※本稿は、木部智之『複雑な問題が一瞬でシンプルになる2軸思考』(KADOKAWA)を再編集したものです。

「制限」のある中で、アイデアを発想するメリット

仕事をしていく中で、時間に追われながらアイデアをひねり出さなくてはいけない局面は頻繁にあるでしょう。

写真=iStock.com/DigtialStorm

このようなとき、いきなり真っ白なキャンバスにアイデアを出そうとするよりも、「制限」の中で発想していくほうが、実は、効率的であり、結果的にも良いアイデアが出てくる可能性があります。

その「制限」というのが、タテ軸とヨコ軸、2本の線を引いてできた「枠」を利用することです(タテヨコ2軸を使って考える思考法を、私は「2軸思考」と呼んでいます)。

「斬新なアイデアを考えたいから、真っ白な気持ちで考えたいんだ」という人もいるでしょう。

ですが、思考する範囲を限定する(枠をつくる)と、その範囲に「集中」することができるようになるので、対象について、より「深く」考えることが可能になります。

私の経験上でも、2軸がヒントになるため、アイデア出し自体が活発化し、その途上で面白いアイデアが出てくることが多いような気がします。

「ひらめき」よりも「ロジカル」にアイデアを出すのが効率的

「アイデアを出す」という場合、よく「デザインシンキング」と「ロジカルシンキング」の優位性が比較されます。ですが、これはどちらが良いかという問題ではありません。アプローチの目的が違うからです。

デザインシンキングは、まったく新しい革新的なアイデアを出す、つまりイノベーションを起こすことが目的です。

しかし、私たちが日常的な仕事で直面している問題においては、イノベーションが必要なことはほとんどありません。ミラクルを狙っているのではなく、現在の60点のものをどうやって70点にするか、そしてどうやって80点、90点、100点にするかが仕事の大半で問われていることです。

つまり、私たちの普段の仕事でアイデアを出すときは、「ロジカル」に2軸思考でアイデアを出すほうが効果的なのです。