30年前のバブル期に大量採用された社員が、「リストラの適齢期」を迎えはじめた。希望退職者に退職金を上乗せする手厚い企業もあるが、減給・降格で転職に追い込む企業もある。「お荷物社員」について企業はどう考えているのか。数百人の希望退職を実施した大企業の人事部長に匿名で話を聞いた――。

東証1部上場企業の6人に1人がバブル入社組

30年前のバブル期(1988~1992年)に大量採用された世代が、今年48~52歳という「リストラの適齢期」を迎えはじめた。

写真=iStock.com/kieferpix

当時は例年の定員枠の2倍増で採用する企業も珍しくなかった。採用担当者は大学名に関係なく、学生の確保に駆けずり回ったものだ。

その結果、バブル崩壊後の採用減などによって「バブル入社組」は社員の人口構成上、突出したボリュームゾーンになってしまった。『日経ビジネス』(2015年8月3日号)の調査によると、売上高1兆円を超える東証1部上場企業の6人に1人がバブル入社組だという。

▼キャリア30年 貴重な戦力だが「余剰だから切ろう」

とはいえ現在は人材不足が顕著であり、経験豊富なこの世代は貴重な戦力のはずだ。50歳といえば、定年後再雇用を含めて65歳まで15年もある。彼ら・彼女らを再活性化し、企業の成長に貢献してもらうかを考えるのが経営者の役割でもある。

ところが、この世代を「お荷物扱い」する企業もある。中高年世代のキャリア開発研修を手がけるコンサルタントはこう語る。

「業界によって違いますが、総論としてはバブル世代を活かさなければいけないという認識が広まり、活性化に取り組む企業が増えています。しかし、各論ではモチベーションや能力が停滞している人をどうするのかという問題が論点になると、『余剰だから切ろう』という会社もあるのが現実です」