どうすれば長生きができるか

元首相の羽田孜さんが、8月28日にお亡くなりになりました。

1995年の阪神・淡路大震災後、兵庫を地元としていた私は、当時新進党の副代表を務められていた羽田さんとともに、バイクで被災地を回りました。メモ魔としても知られる羽田さんは、被災現場でそのつど課題や対策案を真剣に書き留められていたことを思い出します。

しかし、羽田さんといえば、やはり「省エネルック」。夏場に、半袖の上着を着られていたことを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。私が環境大臣時代に、「クールビズ」を呼びかけたときにもいろいろと参考にさせていただきました。

羽田さんの訃報に接して、もっとも驚いたのは、「老衰」という亡くなり方についてです。享年82歳、「まだお若いのに」と感じられた方も多いでしょう。

2015年に行われた厚生労働省の調査によると、80~84歳の死因上位3位は、悪性新生物、心疾患、肺炎です。これが95歳以上になると、死因の第1位は老衰となります。この老衰という言葉には、「天寿を全うする」という意味合いが込められることも多いものです。

生涯現役の代名詞、お手本にしたい「生き方上手」ぶり
聖路加国際病院名誉院長の日野原重明氏が、2017年7月18日に105歳の生涯を閉じた。存命中には20年開催の東京オリンピックで聖火を点したいと希望を語るなど、その目は常に未来に向けられていた(写真は、16年11月21日、長生きと健康をテーマとした講演会で、参加者との合唱を指揮する日野原さん)。(読売新聞/AFLO=写真)

さて、「年を重ねて、天命を全うする」ということで思い出されるのは、今年7月18日に、105歳で亡くなられた医師の日野原重明先生です。先生は亡くなる数カ月前まで、患者さんを診続けられていたとのこと。「生涯現役」を体現する一生でした。

実は日野原先生と私は関西学院の同窓生です。先生は中学部で学ばれ、私は大学の一時期を西宮の関西学院で過ごしました。

日野原先生には同窓のよしみで、親しくしていただきました。聖路加国際病院理事長室を訪ね、日本の救急現場の問題など、拝聴したこともあります。当時「まだ」90代でいらっしゃいましたが、本当にお元気で楽しくて喋りこんでしまい、「先生、お忙しいのでは?」と尋ねても、「いや、いいんだよ」と大らかに笑われていたのが印象的でした。1時間ほどお話しして理事長室を出たら、廊下にずらりと白衣の医師が並んでおられ、長居したことを反省しました。

その日野原先生が100歳を超えてもなお元気だった秘訣、それは徹底した栄養管理と医学の知識はもちろん、「生涯現役」だったことが大きかったと思います。