“大学が呼んではいけない人”で100万アクセス

「東大以外に行く意味はない。でも近大はあってもいいかもしれない」

そう話したのは、元ライブドア社長の堀江貴史氏、通称ホリエモン。近畿大学の躍進ぶりをまとめた書籍の帯に寄せた言葉だ。東証1部上場のときにTシャツにジーンズ姿で現れたその人が、近畿大学の卒業式で祝辞を述べた。「大学なんかいらない」と豪語する人物であり、本来は大学が呼んではいけない人かもしれない。だが、そんな古い意識には縛られないのが近畿大学だ。

社会に巣立つ人間に必要なのは、キラキラ美化された未来に羽ばたこう! と夢を見る以上に、社会の荒波で生き残るためのノウハウや後押しの言葉である。スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学の卒業祝辞「ハングリーであれ、愚かであれ」は、歴史に残る名スピーチとなっている。ジョブズも大学には行ったものの、卒業しなかったことは有名だ。堀江さんは「未来を恐れず、過去に執着せず、今を生きろ」と語った。心に残るのは、むしろ破天荒でも社会にインパクトを与えた人の言葉なのかもしれない。

近畿大学広報部長の世耕さんたちは「15分のスピーチをお願いしました」という。その読みは見事にあたり、堀江さんのスピーチはYoutubeで再生回数100万を超えている。もちろん、その言葉は多数のメディアにとりあげられ、大学を否定する人間を卒業式に呼んだことも話題になった。

近畿大学 平成27年度入学式 特設サイト

ポイントは「15分以内に」という注文にある。長すぎてはいい言葉が薄まってしまうということだけではない。祝辞をネットに生配信し、Youtubeにもアップし、その後はSNSで広がっていく……。だから絶対に“長すぎてはいけない”のだ。ここまでの計算が、より広く世の中に広げて宣伝効果を得るために大切になる。何かを仕掛けるときには「先の展開」まで考えるべきことが、あらためて感じられる例だろう。

さらに、モーニング娘。などのプロデュースでおなじみの、つんく♂さんには、近畿大学のOBとして入学式をプロデュースしてもらい、サプライズ登場で祝辞を述べてもらうことになる。前回、大阪梅田や東京銀座に店を出したときの広告費用換算は4億円ほどだったとお伝えした。今回はさらに予想を上回る、こんな金額がはじきだされることになる――。