男女には右脳や左脳、脳梁の太さなどに違いがあり、そのため「男性は論理的、女性は感覚的に話す」などといわれがちですが、実は確固たる証拠はありません。

一方、心理学には「同化」と「対比」という考え方があります。同じカテゴリーに属するもの同士の差異は小さく、違うカテゴリーに属するもの同士の差異は大きいと感じやすい。違うカテゴリーの最たるものである男女の性差は、とかく過大評価されがちなのです。

ジェンダー心理の観点から見ると、生物学的な差異よりも、むしろ親の養育態度や、社会から求められる「男らしさ」「女らしさ」といった、社会的要因のほうが強く影響しています。

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連合記憶の脳のなかのメカニズム

さらには、女性は物事と物事の間を連合させる「連合記憶」という能力が男性より高い傾向にあります。男性から見たら女性の話が飛んでいるようでも、女性同士であれば、2つの事象の連合スピードが極めて速く、それらの関連性が理解できます。しかし男性は、そのスピードについていけず、話の流れが突然飛んだように感じるのです。

実はここにも社会的要因が絡んでいます。女性は小さい頃から友達同士でお互いの話をしたり、秘密を共有したりと、関係構築のためにたくさん会話をします。相手に自分の個人的な感情などを伝えることで対立を避けて理解を深め、良好な関係を維持しようとするからです。

男性は、趣味や仕事などの何かを媒介にして交友関係をつくるので、手段的な関係性ともいえます。小さい頃の遊び方も、ルールのあるゲームを通して、仲間意識を強くしたり競争することを学びつつ、人間関係を築いていくため、根本的に女性と異なります。