Q.会社員のAさん(32歳)は、今年、マイホームを購入したばかり。資金のほとんどは、マイホームの頭金に使ってしまったため、貯蓄は定期預金の100万円が残るだけである。今回のボーナスを機に、急ピッチで貯蓄を開始するつもりだ。とくに心配なのは、5歳と2歳の子どもの教育費。2人とも大学まで国公立に行かせる予定だが、ひとり1000万円かかるという費用をどう捻出すればいいのか、頭が痛い。
【運用資金】30万円【保有資産】100万円(定期預金)【住居】持ち家
【家族構成】[夫]32歳 会社員 年収500万円(額面)[妻]30歳 パート 年収100万円
[長男]5歳[長女]2歳

ひとり300万円の教育費を準備したい

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資産運用

30代の資産運用では、子どもの教育費が大きなテーマとなる。子どもの人数や進路によって必要資金が大きく変わるから、まずはいつ、いくら必要なのかを見極めよう。

文部科学省の「子どもの学習費調査」(平成22年)および日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査(国の教育ローン利用勤務者世帯)」(平成23年度)のデータを総合すると、すべて国公立に進んだ場合で高校までに約500万円、交通費や教材費も含めた大学費用で約500万円、計1000万円程度の教育費が必要になる。

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保険

とはいえ高校までの費用は家計のやりくりで乗り切れるケースも多いので、まとまった資金として確保が必要なのは、おもに大学の費用。2年目以降の学費は一部を家計でやりくりするとして、入学時に300万円程度が確保できていれば、ひとまず安心といえる。

Aさんは、ボーナスの30万円を運用に回す予定。目的が教育資金なら安定運用が基本だ。国内の債券ファンドがおすすめだが、30万円を1年目の保険料に充て、保険で教育費を確保する方法もある。30代は必要保障額が最も大きくなる世代。できるだけ保険料が割安な保険商品を選び、効率よく準備したい。

●2人分の大学費用をうまく捻出したい

[資産運用]国内債券ファンドは、安定的な運用で預貯金よりも高いリターンが狙える点で、教育資金の運用に向いている。また、強制的に教育費の積み立てができる保険の活用もおすすめ。学資保険が一般的だが、低払いもどし金型定期保険に加入して、解約払戻金を教育費に充てる方法もある。その場合、30万円は年払いで初年度の保険料に充当すると、月払いよりも2%前後、保険料が割安になる。

[保険]マイホーム購入時に団体信用生命保険に加入しているので生命保険はその分、保障を減らすことができる。遺族の生活費と2人の子どもの教育費を収入保障保険で確保し、葬式代などは、変額終身保険を利用。医療保険は終身医療保険で入院日額5000円から1万円を確保。

【POINT】預金より利回りの高い保険の活用も検討する/Aさんが32歳で2歳の長女のために低払いもどし金型定期保険(アクサ生命)に保険金額370万円で加入すると、保険料は年12万6588円。長女が17歳時に中途解約すると約221万円が戻る。5歳の長男は学資保険(ソニー生命)に年16万8080円の保険料で加入すると、17歳時点で220万円受け取れる。2人分の年間保険料は約30万円。