また商工組合中央金庫に内定した経済学部の市村美央さんは、「団体戦」の意識が助けになったと話す。
「金融業界を数社受けた後、就職支援センターから『商工中金の説明会がある』と電話がありました。説明会は星稜生が2~3割。最終面接の5人は全員が星稜生で、心強かったです」
同大は1学年約500人。全員が互いの顔を知るわけではない。星稜生の仲間がいるとわかったのは、リボンが目印になったからだ。同大は4年生の女子全員にはリボンを配っている。「身だしなみ」のひとつとして「就活にはリボンでまとめたアップの髪型で臨め」と指導しているからだ。「就活は団体戦」の表れだ。
就職実績の向上には、05年から始めたCDP(キャリア・ディベロップメント・プログラム)の効果もある。公務員や税理士、教員を目指す学生のための特別講座で、学外の専門学校から招いた講師が講義する。講義は一部が単位として認められるうえ、1年次の受講料は9万円と非常に安い。今では毎年約20人が国家公務員II種や地方公務員上級試験などに合格。税理士試験にも毎年数人が合格する。11年度は新入生の半数近くがCDPに参加し、内定を勝ち取った油谷さんと市村さんも受講経験をもつ。2人とも資格取得には至らなかったが、就業意識を高めるうえで効果があったようだ。
同大は03年度には定員割れに追い込まれていたが、11年度は定員430人に対し、志願者1610人と「奇跡の復活」を遂げている。入学時から就業意識を高め、団体戦で就活をやり抜く――。堀口センター長による梃入れが、着実に実を結びつつある。
1967年に金沢経済大学として開学し、2002年に名称変更した。経済学部の偏差値は47(2012年度)