記憶に効く場所(家の中編)

「インプット:アウトプット=1:3の法則」をご存じでしょうか。アウトプット(思い出す)はインプット(覚える)の3倍することです。記憶力を高めるには、インプットよりもむしろ「アウトプット」が重要なのです。

スマホやタブレットの普及などにより、隙間時間でも動画を見たり、本を読んだりできるようになりました。

体に入る情報が多ければ多いほど、当然すべての内容を覚えることは困難になります。アウトプットする時間も少なくなってしまうので、たくさん情報を体に入れたけど、自分の中で消化しきれず定着できない、という事態に陥ってしまいます。

そんな忙しい現代人でも、アウトプットできる場所や時間があります。

次に紹介する場所は、ほとんどの人が一日の中で一定の時間を過ごすと思います。その時間をぜひ有意義に使ってほしいです。

①お風呂

最近のスマホは防水機能もついているので、お風呂の中にスマホを持ち込む人もいるようですが、基本的に精密機器なので持ち込まないほうがいいでしょう。

お風呂は一人で温まりながらリラックスできる空間です。お湯につかっているときやシャワーを浴びているときは目を閉じましょう。

目を閉じて、今日覚えたことや今日あった出来事などをゆっくりと思い出してください。思い出すのは勉強や仕事で覚えたこと、覚えたての英単語、今日受けた授業の内容などなんでも構いません。

今日特に何も暗記をしなかった人は、朝起きてからお風呂に入っている「今」の時間までの一日の出来事を時系列で思い出してみましょう。うれしかったこと、おいしかったもの、ちょっとイラッとしたことなどいろいろなことが思い出されると思います。

多くの人は夜にお風呂に入ると思いますので、このタイミングで思い出してみて「今日覚えたけど忘れてしまったもの」があれば、寝る前までにもう一度見直すのがおすすめです。例えば、スペルを思い出せなかった英単語は、再度見直すことで記憶に定着します。

勉強以外でも、今日中にやるべきことを思い出したら、風呂上がりから寝るまでのわずかな時間に消化してしまいましょう。

写真=iStock.com/Yue_
※写真はイメージです
②ベッド(布団)

人間の記憶は「寝ているとき」に長期記憶化されるといわれています。そして、脳内では常に新しい記憶から整理されています。

つまり、寝る直前に暗記したものから夜、夕方、昼、朝の記憶の順に長期記憶化されるので、寝る前に記憶した内容が最も記憶として定着しやすいのです。

試験を控えていたり、仕事で覚えなくてはいけないものがあったりするときは、いきなり電気を消して眠るのではなく、3分間でも、英単語5個でもいいので、ベッドや布団の中で暗記をするようにしましょう。

そして記憶が終わったら、電気を消して目をつむります。

クタクタに疲れているときはすぐに寝てしまう人もいると思いますが、基本的には睡眠に入るまで少し時間があると思います。その時間に、先ほど覚えた内容や今日覚えた内容、一日の出来事などを思い出してみましょう。

青木健『東大式記憶力超大全』(総合法令出版)

寝つけなくなるといけないので、思い出せないものがあっても電気をつけて無理に覚え直したり、確認したりする必要はありません。

もし寝る直前に覚えた英単語をうまく思い出せなくても、一日の出来事で思い出せないことがあっても、翌朝に起きてから確認すれば問題ありません。「思い出す」という行為をしっかりとやることが重要なのです。

お風呂とベッド以外にもトイレや皿洗いなどのルーティンワークの時間も、なんとなくボーッと過ごすのではなく、頭の中で何かを「じっくり思い出すチャンス」とすると記憶力が高まります。

POINT 隙間時間はアウトプットする絶好のチャンス