ミラーニューロンの役割
このように考えると、ミラーニューロンは、自分の運動予測機構を使って、他者の運動(の意図)を予測する機構だと考えられる(図表4)。現在、ミラーニューロンシステムの活動は、自分の運動予測と他者の運動認識、この両方の予測符号化という枠組みで説明されている。
運動と聞くと手足の運動を思い浮かべがちだが、興味深いのは、他者の声を聞いているときでさえ、自分の舌や顎、唇などの動きを処理するミラーニューロンが働くことだ。
そして、発語の習得にもミラーニューロンが関わっている。さらに、他者の動作であれば視覚から、言語(音声)であれば聴覚から入力し、それらを自己の運動を通じて認知している。同時に認知することで、言語の「動詞の獲得」につながっていくのだ。