人口増加に見合う防災対策をいかに行うか

野澤千絵『2030-2040年 日本の土地と住宅』(中公新書ラクレ)

また、近年、数十年に一度・100年に一度と言われるレベルの大雨が毎年のように全国各地で発生するようになっていますが、その頻度が、それぞれの地域でどの程度かということを想定するのは非常に困難です。そのため、浸水リスクが高いというだけで、住宅の建設を禁止することは日本の法制度上、なかなか難しいのが現状です。

とはいえ、河川改修や堤防整備などハードの整備を進めるには長い時間がかかりますし、水はどうしても低い方へ流れていくため、更に想定外の雨量が降った場合、大きな被害の出ることが懸念されます。そのため、こうしたエリアに対しては、人口増加に見合う防災対策をいかに行っていくかが重要となります。事前避難の体制づくりや受け入れ先の確保を具体的に進めるだけでなく、今後の新規開発においても垂直避難を可能とするスペースを各建物で確保できるようにするための誘導策や、長期間浸水が継続する事態についての具体的な対策の決定を加速していくことが必要不可欠です。

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