3つの物件を計2070万円で買い、手取り家賃は月計20万1000円

「その理由は『家主が住み続けている間、物件の購入者(雅彦さん)はその期間は自由に活用ができない』といったデメリットがあるからです。不動産を購入する場合『購入した物件をリフォームして付加価値を高め、売却して利益を得る』ということを目的にすることも多いです。ですがリースバック物件では、家主がいる間はそのように付加価値を高めて売却することはできません。そのような縛りがあるので、市場価格よりも安く購入できる可能性が高いのです」

ただし、とT氏は続けました。

「リースバック物件であれば何でもよいわけではありません。物件の選定が重要です。将来、家主が退去した場合、すみやかに売却してその資金で新しいリースバック物件を購入することが望ましいです。ですが、すみやかに売却できるかどうかは事前にしっかりと市場調査をしておく必要があります。とはいえ、物件の選定や市場調査は弊社が責任をもって行いますのでその点はご安心ください。以上のことから、購入費用を抑え、できるだけ長い間安定した収入を得たい雅彦さんにとって、リースバック物件はぴったりだといえるでしょう」

T氏の説明を一通り聞いた後、物件データを確認することにしました。

※家賃、固定資産税、不動産管理料、手取り収入は月額。
※上記費用以外に、登記費用、不動産取得税、登録免許税、司法書士の報酬、不動産仲介手数料で約190万円がかかる。

表を見た雅彦さんはやや興奮気味に言いました。

「3つの物件の購入総額は2070万円で、手取り家賃は月計20万1000円になるのですか。すごいですね!」

雅彦さんの発言に対し、筆者は念のため注意を促すことにしました。

「確かにこの表の手取りは計20万1000円ですが、家賃収入を得ることにより、国民健康保険料が増額し、新たに所得税と住民税が発生します。それらを引いた残りが手取り収入になると考えたほうがよいでしょう。それぞれの金額を正確に計算するのは難しいのですが、大まかな金額であれば試算してみることは可能です」

筆者はそう言い、手取り額を概算してみました。すると月額で約15万5000円になることが分かりました。

その試算結果を見た雅彦さんは満足そうに頷きました。

「それでも月15万5000円になるのですね。これだけあれば十分です。仮に障害厚生年金が停止されてしまっても何とか生活できると思います。ぜひこちらの物件でお願いしたいと思います」

すると、今まで黙って話を聞いていた母親が不安そうな表情で質問をしてきました。