株価が「長い目で見たら上がる」理由

もちろん数年に一度、リーマンショックやコロナのような株価に大きなマイナス影響をおよぼす波は訪れます。それでも、30~50年単位の長いスパンでみれば、基本的に株価は右肩上がりのトレンドであることは覚えておきたいところです(図表1)。

堀江さんがしばしば指摘するように、世界中でたえまなく起こるイノベーションのおかげで、富の総量は増え続けています。また、多くのイノベーションは資本市場の力を借りて急成長します。アップルやエヌビディアのような革新的な企業は、どの時代にも出現してきました。経済成長を生み出す原動力は企業にあり、その成長の源泉に資金を投じればリターンは良くなります。数十年スパンで見たとき、それが株価が右肩に上がり続ける大きな一因になっています。

私の個人的な考えですが、「今年◯万円増やす」とか「夏休みに旅行するためのお金を儲ける」などといった、短期的なリターンを株式投資に求めるのは向きません。数カ月だと、予期せぬ理由で株価が大きく下がることもしばしば起こります。

「1カ月後に20%上がっていそうな株を探そう」とか「何百万円の元手を1億円にしよう」といった希望的観測で投資をするのは適切ではありません。そうした結果を求めるあまり、身の丈に合わないリスクをとりすぎてしまい、大損につながることもあります(「リスクをとりすぎる」とは、余裕資金以上の額や、信用取引で手元資金の数倍もの額を投資に回すことなどです)。

目先の利益に血眼になるのではなく、投資の基本的な目的は「老後を含めた生涯の資産形成」に設定するべきでしょう。

株を選ぶ基準は「5年後にも期待できるか」

だからこそ私がすすめたいのは、投資の「長期的な積立スタイル」です。刻一刻と変化する株価に一喜一憂したり、右往左往したりするのではなく、淡々と積み立てていく。証券会社のアプリや投資信託のサイトなどから「月1万円で毎日積立」といった設定も簡単にできます。

積立なら株価が上昇しているときも急落しているときも気にする必要がありません。特別な操作も不要でほったらかしでよいのです。投信や株を選ぶ際も、1カ月後、1年後の価格よりも、「5~10年持っていてもよさそう」という視点で投資先をしぼるのがいいでしょう。

結果的に株価が下がってしまうことや、大きな生活資金が必要になり、1年以内に売ってしまうこともあるかもしれません。それでも少なくとも、株を買うときには「最低でも5年間は持つ」「5年後にも期待できそう」という思いが持てるところから株を選ぶべきだと思います。

専業の個人投資家でなければ、情報収集や分析、投資判断にたくさんの時間は割けないでしょう。SNSや書籍などでさまざまな分析手法があふれていますが、「勉強すれば必ず儲かる」という必勝法は存在しません。新NISAをきっかけに新たに投資をはじめた多くの人には、肩の力を抜いて長期・積立で、投資をゆるりとはじめることをオススメします。

写真=iStock.com/Jira Pliankharom
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